7 墨液で採拓

    山梨県市川大門碑林公園にある良寛「天上大風」拓本。

西安碑林で使用されている墨液を使って採拓しました。

左側が墨液拓本です。比較のため右側に油墨の拓本
を載せました。

相当濃く採拓できます。 
    左は墨液の拓本の裏、右は油墨の裏、墨液拓本では
裏にずいぶん通り抜け滲んでいるのがわかります。 
油墨はほとんど通り抜けません。
   今回は使用画仙紙に棉連を使用しましたので、三枚重ねで採りましたが、三枚目にもうっすら滲んでいます。  
一般に拓本と言えば黒々としたものを想像しますが、日本では碑を汚しますので、現在はほとんど油墨で採拓します。
また墨つけが難しく、文字の中に墨が滲み込んだり、タンポの跡が残ったりで使われません。
今回は碑を汚さないで採る方法を述べますが、初心者はまず油墨でじゅうぶん慣れてから挑戦してください。最初は汚れても
よい版木などでテストしてください。

 1. まず対象となる碑を選びます。御影石などの凹凸のない滑面の碑を選びます。凹凸や粗い石は紙が破れやすく、その穴か
   ら墨が入りますので採らないようにしてください。瓦や石仏は厳禁です。 
 2. 墨液は前もってスポンジなどにしみこませておいてください。現場で墨液を使うとこぼれたりしますので要注意です。
 3. タンポは固めのものがようようです。使用後は洗います。
 4. 厚い画仙紙(二層紙)などは二枚重ね、薄い画仙紙(単宣)などは三枚重ねで採ります。
 5. 紙貼りは、1枚ずつ碑に水でとめます。ある程度タオルで水分をとってから、二枚目、三枚目と貼ります。破れないようにし
   てください。
 6. 最後はよく乾燥するとともに、撫刷毛や棕櫚刷毛で紙面を擦るとよく密着します。この紙の乾燥が一番重要です。
   乾きが悪いと滲みますし、乾きすぎると墨がのりません。これは練習でほどよいを乾燥を会得してください。
 7. 上墨(墨付け)はタンポにつけた墨を別のタンポでよくすり合わせてならします。そして最初は軽く、薄く全体につけてください。
 8. 次はタンポを細かく叩きながら、これも満遍なくつけていきます。いっぺんに濃く採ろうと思わないで時間をかけてつけます。
 9. 紙が碑から浮くようになったらやめてください。
10. 碑に万一墨がついたら、すぐに洗ってください。

綜芸舎ではこの「西安碑林 墨液」を販売しています。→綜芸舎  


6 文学碑を採る    市川市手古奈霊堂  2010年2月21日撮影  参照:拓本の取り方

     
 1 万葉歌碑碑の所有者に採拓許可を
 とり、碑を汚したり壊さ無いことは勿論、
 周辺の環境にも配慮
 2 石碑の形も採ろうと大きめに画仙紙
  を用意。横幅は画仙紙の大きさを超
  える。一回り大きめの画仙紙がいる。
 3 周りをテープで留めた後、スプレー
  で霧を紙面にかけ中心から刷毛で伸
  ばす。
     
 4 水で紙を止めたところ。水はたっぷり
   吸い込ませる。
 5 タオルで石に紙を貼り付けるとともに、
   紙の水分をとる。
 6 タンポ二つに油墨をつけて、よくこすり
  合わせて、なじませた後貼った紙の上
  から軽く叩いていく。
    葛飾の真間の井見れば
     立ち平し
 水汲しけん 
    手古奈しおもほゆ
        
           東才子
    
      明治2年建立


          
 7 最初は薄く全体を採り、だんだん濃く
   していく。
 8 今回は文字の部分を濃く採り、石碑
   全体は薄くとる採拓法。
 


5 葉拓 拓本教室A

2009年10月から始まった「史迹と美術同攷会」主催の「拓本講座」ハートピア京都での教室終了しました。最終日は葉拓講座。各自が持ち寄った葉っぱを楽しみながら採りました。
参加者の中に庭師の方がおられて、とりたての葉も持ってきていただいたのですが、やはり少し押し葉状態にしないと採るにくいようでした。
またタンポは小さなものが必要で、写真のようにタンポの柄の部分で採るという技も使ってもらいました。

薄く採る方、濃く採る方、タンポのムラも気にしないで採る方など個性豊かな葉拓が完成。
葉の配置で無数の組み合わせができるので創作意欲がわきます。

来年は野外での採拓を企画したいと思っています。

銀杏の葉の方は、同時期に行った東京大森のよみうり文化センターでの拓本教室。東京ということで都のシンボル銀杏の葉を採拓。

なお大森の教室は1月は立体拓本を教えます。又2月、3月は野外での採拓会、1日参加もできますのでご参加ください。道具はお貸しします。




4 乾拓 拓本教室



4月26日より、読売・日本テレビ文化センター大森で拓本教室が開講しました。1回目は拓本の歴史の講義とタンポつくりと乾拓の実技をいたしました。出張で来ておられる青森の方を含めての少人数の出発ですが、みな熱心に受講されました。
二回目(6月28日)は講師藪田夏秋の所有する中国拓本の紹介と、平面的な拓版からの採拓をします。連続でも、一回ずつでも参加できますので、興味のある方はぜひ参加ください。詳細は次のページへ→「拓乃会」






3 和傘採拓 創作拓本軸



以前大きな蓮の葉の拓本(葉拓)をしましたが、今回は「絵になる拓本展」の創作拓本として、傘を採拓してみました。

画仙紙を和傘の表面に水張りします。和傘はもちろん水に濡れても問題ありません。あまり強く押さえると破れます。

問題は傘の中心部分、ここは破って穴を開けます。くり抜いてしまうと、元に戻した時、穴がぽっかり空きますので、ちぎるだけにしておきます。

もう一つは円錐形のものに平面の物を貼るとどこかで重ねが出ますので、骨と骨の間で、わざと重ねを作ります。

墨はなるべく骨のみにつけますが、はみ出てもあまり気にしないでとります。その方が拓本という感じが出ます。

右の出来あがった作品は、別に採拓したものです。掛軸の表紙裂の柱まではみ出ているように見えますが、これは裂をくり抜いて創作したものです。(2009.1.1)
注:今年の「ひょうほゑ展」に出品予定。


2 亮天功石額採拓

南禅寺のおなじみの景観、煉瓦作りの構造物は水路閣といわれ、琵琶湖の水を京都に引いた疎水の水路の一部分で、1890年完成、118年にもわたり水が京都に流れ込んでいます。
最近一部分に亀裂が見つかったということで修理するとのこと。「篤姫」が亡くなって7年後に完成してるわけですから日本人ってすごいですね。
さてこの水を使って日本最初の水力発電所が
1891年完成し電力を京都市内に供給したわけですが、何と今も現役で動いているのにはご苦労様と言わざるを得ません。
数十年前この発電所の建物を修理するとき、ある依頼が私の方にもたらされました。それは建物正面の上部にある大きな石彫の拓本を採るというものでした。場所は南禅寺の隣、蹴上。足場が組まれた上での作業、文字は「亮天功」(てんこうをたすく)・・は中国の古代の書経にある瞬帝の言葉で、書は久邇宮邦彦殿下。

この建物は一時解体する予定でしたが、この石額のお陰で保存されたとか。おとりした拓本は蹴上の資料館に保存されました。


なお「天」のみテスト採拓して残しておきましたので、今回公開します。(2008.9.21)


1 道元碑採拓   

 これは2003年4月29日神奈川県鎌倉市鶴岡八幡宮横にあります道元碑を藪田夏秋とスタッフによる採拓の記録です。(2008.7.20)

 
1

「道元・只管打坐」碑

道元48歳(1247)の折、鎌倉幕府に請われて当地に。それを記念して 先日他界された宮崎奕保(えきほ)老師の書。
「しかんだざ」
意味は「ただひたすらに座禅すりこと」


私は「只管打墨」
ただひたすらにタンポの墨を敲きました。
 
   
2

足場組みたて。
高さ5m
 
3.

拓本試しどり 
 
4.

大画仙紙(6尺長)をスプレーと水刷毛のみで貼りつける。
風が強いので、回りをテント地で覆う。
一番上はすでに済んでいる。
 
 
5.

水張り後、タオルで密着と水分を取る。あまりとると乾いて剥がれ、水分が多いと墨がつかない。 
 
6.

大きなタンポに拓本用墨をつけて、よくならして貼った紙の部分に叩き込んでいく。打墨は一人でやらないと、濃淡が出るので最後まで一人で叩く。何百回叩いた。
またゆっくりしていると乾燥して剥がれてしまうので、スピードが要求される。 

7.

この碑の石面は粗いので、大きなタンポでは文字が浮き出てこないので 小さなタンポで細かくたたく。
これは「打」。
 
8.

「管」の字の上墨が終わったところ。 

9.

スタッフと記念撮影。あと男性が2名いますが映っていませんね・・・

10.

碑陰

ふつうは碑の裏に書かれる、碑のいわれ=銘文です。
ここでは別石に彫られています。