なーに看板 夏秋独り言ⅱ

Whatⅰ 採拓記

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拓本は中国二千年前に生まれたコピー技術です。写真や印刷と違い、実物大に写し取れます。硬くて凹凸さえあれば何でも写し取ることができます。時代劇の襖や屏風に使われるので何となく見たことあるでしょう。また五円玉に紙を当てて鉛筆で擦ったことありませんか。あれも立派な拓本(乾拓)!
中国の古い碑の拓本は書道の勉強に必要ですし、遺跡から出土した瓦や鏡は考古学には無くてはならない資料です。それとは別に楽しむ拓本があります。歌碑や句碑、石仏を訪ね、探し当てた碑等を歴史や文学を感じながら拓本を採る・・・持ち帰って飾って楽しむ。それってとっても静かな趣味です。
(注意)拓本は魚拓ではありません! 
魯孝王刻石「五鳳二年(BC56)(中国曲阜)拓本
(拓本ギャラリー20)

Takuhon is the technology of printing or copying that originated in China 2000 years ago. In Takuhon we are able to reproduce an image of exactly the same size, unlike photography and printing. It is difficult to perfectly copy the uneven images. Have you ever placed paper over a coin when you were a child to make a rubbing with a pencil? That is superb Takuhon (dry rubbing)!
We need the Takuhon rubbing of old tombstones in China to study the ancient scripts. Takuhon also provides a detailed and precise record of ancient images on tiles and mirrors which can be damaged during excavation to enableus to save this knowledge for future generation.
You are someone who enjoys Takuhon. You visit monuments inscribed with a poem and stone tablets inscribed with images. And while you are rubbing the image you also absorb a feeling of history and literature. You take back an image and a feeling and have fun making a panel or scroll from your rubbing. It is a very quiet and peaceful hobby.
(Attention) Takuhon is not Gyotaku (fish print)!
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46清水寺岩駒虎拓本
45
開通褒斜道刻石拓本
44絵になる拓本

43拓本の効果に就いて 42只管打墨 41隼人石拓本 40筆神拓本 39拓画軸 38歌碑断碑 37フロッタージュ 36延暦寺宝幢院鐘拓本 35葉拓 34隼人石拓本 33井真成拓本 32モンゴルの碑拓本 31頭塔石仏拓本 30藤原定方 29高台寺梵鐘拓本 28東大寺八角灯篭竿拓本 27棟方志功鐘 26井 真成 25只管打坐 24清田拓本展 23真夏の採拓 22大唐三蔵聖教之序 21拓本満開の5月 20拓本の裏打 19いわ猿&きか猿 18アンコールワット拓本展 17伊東拓本コンクール 16青銅器鐘 15書籍紹介 14新年の決意  13拓本の講習 12訪ね碑? 11夏拓秋装展ⅱ 10フインランドから帰国 9綜芸舎HPオープン  8 IMPACT  7フインランドへ  6通産省 5大学で拓本指導  4拓乃会 3吉野山 2四大文明展 1但馬

夏秋独り言 46 清水寺岩駒虎拓本


京都清水寺境内にあるこの虎は 拓本ギャラリー
4(2000年9月)に紹介した、江戸時代後期丸山応挙や谷文兆と覇を競った岸駒の作です。虎を描かせれば当代一といわれました。石に彫られた虎の最高峰ではないでしょうか(145×110㎝)

しかし灯籠は苔むして何が彫られているのかわかりません。拓本に採って初めて岩駒の凄さが現れます。これが絵や写真と違う拓本の良さです。石から離れた瞬間に拓本は自己主張を始めます。
コピーでないアートとしての拓本の出現です。

今年は寅年、再度登場。灯籠の一種で、穴の部分には灯明をともしたのでしょうね。今年はいい方向に導いてほしいものです。
(2009.12.31)



夏秋独り言45  開通褒
斜道刻石拓本

「かいつうほうやどうこくせき」と読むこの拓本は、拓本をアートとみた時最高峰に位置するもので、中村不折は神品とよんでいます。
私もかって一度この拓本を見て虜になりました。
今回東京丸の内の出光美術館の「文字の力・書のチカラ」展で再会できました。(会期は1月10日から2月15日)
中国は永平6年(AD66)、陜西省漢中の道を開通したとき、太守鄐ちく君の功績を讃えて岸壁に彫られた記念磨崖碑です。
風化が激しく現在は切剥がされて漢中市博物館に保存されていますが、ボンドで留めてあるとのことで、採拓はできないと思われます。
この拓本は大阪市立美術館所蔵のもので大変貴重なものです。

この碑の内容は読みにくく、読めても「多くの人と月日とお金をかけて道を作った」という内容で、今日ではそれほど重要ではありません。
書はデザイン的で、雄渾ではありますが、紙にかかれている状態ではそれほど心を打たれないでしょう。
この碑の最大の芸術性は、文字と石の模様が、拓すという技術で写し取った拓本にあります。
多分この拓本が採られたのは石に文字が刻まれてから、ゆうに1000年は立っていると思いますから、石に当たる雨風が新たな造形を生み、この拓本により一層の美術性を与えています。(127.2×256.5㎝)

なお本展には中国唐代楷書の名品「雁塔聖教序拓本」も展示してあります。西安の大雁塔にある碑で648年玄奘(三蔵法師がインドから仏典をもちかえった記念に太宗の選文を褚遂良が書いたものです。
この拓を書家種谷扇舟が臨書、すなわち写し取った書を一隻の屏風に仕立てて展示。
書道は古代の書、それも拓本でしか残っていない書を、臨書することによって技術を磨きます。日本画も洋画もやはり模写をすることで技術を習得していくわけですから同じことです。拓本は今日の書道を築いてきた最重要なファクターといって過言ではありません。
種谷扇舟は臨書の最後に「雁塔聖教序の魅力にとりつかれ原拓を臨書したが又々惨敗 偉大なる彼とみじめな吾」と記しています。(2009.2.10)

夏秋独り言44 絵になる拓本

11月22日・23日・24日と京都みやこメッセの日図デザイン博物館で開催された「絵になる拓本展」は、伝統的な拓本と、アートな拓本の二本立てで募集されました。
今回は私藪田夏秋は招待作品として、三点出品しました。その中の一点は「和傘」として「採拓記3」に掲載しました。

左の「千客万来」は招き猫を採拓しコラージュした斬新な拓本で、賞を獲得しました。出品者の坂田厚代さんは、わたしの指導する奈良の表装教室のお弟子さんです。
この展覧会はアート系専門校の協賛を得て、その生徒さん達の若い発想から生まれたアートフルな作品が毎回出品されますが、今回とっても良かった作品を一つ掲載しました。

携帯電話は今や若い人たちにとってはなくてはならないアイテム、次から次へと機種が進化して、ついこの前のものがいまや使わなくなります。その様子をうまく採拓し、デザインした本作品は、現代を的確に表現した素晴らしい作品です。拓本が過去を映し出すことから、現代を表現する媒体としても機能することがわかって、大変うれしく思っています。(2009.1.1)